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「FreeCAD」でネジを作ってみる

執筆者: まさ

最終更新: 2024/08/08

はじめに

はじめまして、まさです。
今回はFreeCADという3Dモデリングツールを用いて、簡単なネジを設計してみました。
初心者なので、もっといい方法があるかもしれません。

目次

  • はじめに
  • 今回の方針

  • 六角形のスケッチを作る
  • 六角形のスケッチを押し出し

  • 円のスケッチを作る
  • 円のスケッチを座標移動する
  • 円のスケッチを押し出し

  • らせんのスケッチを作る
  • らせんのスケッチから「加算らせん」
  • らせんの先っぽを除く「減算プリミティブ」

  • 押し出し部分(六角形と円柱)・らせんの結合
  • 3Dプリンター用の形式での保存
  • おわりに
  • 参考

今回の方針

今回作るのは、サムネイルになっているネジです。
「六角形 → 円柱 → らせん」の順に作ることにしました。

次のような寸法で設計してみます。

部位

内容

長さ

六角形

直径

20 mm

長さ

10 mm

円柱

直径

10 mm

長さ

20 mm

らせん

全体の直径

20 mm

全体の長さ

約26 mm

太さ

1 mm

らせん同士の間隔(ピッチ)

2.25 mm


六角形のスケッチを作る

モデリングするには基本、まずスケッチを作り、それを基に作業する流れになります。
なのでスケッチから作ってみましょう。
FreeCADを開くと、画面が出てきますね。
ここで左上の「Start」から「Part Design」に行きます。

そこで「スケッチを作成」しましょう。


座標平面がでてくるのでXY平面を選んで「OK」します。

スケッチの画面になりました。
ここで「正多角形を作成」を押し、原点をクリックすると六角形のスケッチを作ることができます。
直径はすぐ後で決めるので、てきとうで大丈夫です。

そしたら直径を正確に決めるために、次の拘束ツールを使ってみましょう。

選んだあと、六角形に外接している円をクリックすると直径を設定できます。

これで直径の拘束を表す赤線が追加されました。(見えにくいですが数値も表示されています)
スケッチはこれで完成なので閉じておきます。

六角形のスケッチを押し出し

ではここから立体的な六角形を作っていきます。
左の「コンボビュー」の「モデル」に移ってスケッチをクリックし、選択状態にしてください。
そしたら左上の「Part Design」から「Part」に移り、「押し出し」を選びます。

「押し出し」はスケッチを垂直に伸ばす操作で、よく使います。
ここで順方向の長さを10 mmにしてください。

ここから「適用」を押すと六角形が造形されます。
これで六角形は完成です!

円のスケッチを作る

では続けて円柱部分を作っていきましょう。
流れは六角形とほぼ同じです。
左上の「Part」から「Part Design」に移り、「スケッチを作成」します。
そしたらXY平面を選んで続行します。

ここから「円を作成」を選び、スケッチの中心を六角形と同じ原点に置きます。
(数値の表示が六角形と被って見えにくいときは、ズームアウトすると見やすいです)

円の直径はてきとうに決めておき、次の拘束ツールでちゃんと決めます。

円をクリックし、直径を10 mmにして「OK」します。
これで円のスケッチの完成です。

円のスケッチを座標移動する

ここまでで円のスケッチを作成できました。
これを「押し出し」するわけですが、このままだと六角形と重なってしまいます。
(ネジ先が想定よりも10 mm短くなってしまいます)
今回は円のスケッチをZ軸方向にずらして対処しました。

左の「コンボビュー」->「モデル」に移って円のスケッチをクリックしてみましょう。
すると、下部に座標などの情報が表示されます。
ここの「Attachment」のAttachment -> Positionの順にクリックすると、x,y,z座標を設定できる欄が現れます。(左の画像)
ここでz=10 mm(六角形の長さ)にすればOKです。(右の画像)

円のスケッチを押し出し

円のスケッチの位置を修正したら、後は六角形と同じようなステップです。
左上の「Part Design」から「Part」に移り、円のスケッチを選んだ状態で「押し出し」を選びます。
順方向の長さを20 mmにして「適用」をクリックしましょう。

これで円柱部分の完成です!

らせんのスケッチを作る

では最後にらせんを設計していきます。
スケッチをつくる部分は円のときとほぼ同じです。
まず「Part Design」よりスケッチを作成します。

座標平面設定の画面が出てきますね。
ここではネジの軸でない方向に伸ばすので、XY-Plane以外を選んでください。
今回はXZ平面にしてみます。

そしたら円のスケッチをネジの近くに置いておきましょう。

そしたら拘束ツールを選び、円のスケッチをクリックします。
直径を1 mmに拘束してください。
(途中でFreeCADのウィンドウを半分にしたので、ツール表示が少し違っています)

これでスケッチの大きさは整いましたが、円柱から浮いてしまっています。
これだとうまくネジにならないので、スケッチの中心が円柱のちょうど壁面に来るようにしましょう。
ここで使うのが距離拘束です。

円の中心とネジの中心軸(ここではz軸)を続けてctrl+クリックすると、線と点の距離を決めることができます。
長さは5 mmにしましょう。
これでスケッチの中心がちょうど円柱壁面にくるようになりました。


ここで、らせんはスケッチから上、下の一方にしか伸ばせません。
そのため、円のスケッチは円柱の前後からはみ出たところに置く必要があります。
したがって、円の中心と水平な軸の間の距離も決めてみましょう。
円の中心が六角形の中に丸ごと収まる程度の長さにします。(今回は5 mmにしました)

これでらせんのスケッチが完成しました。

らせんのスケッチから「加算らせん」

ではいよいよらせんを造形していきます。
らせんのスケッチを選んだ状態で「Part Design」より「加算らせん」を使用します。

ここでピッチを2.25 mmにします。
高さはらせんの先っぽ(黄色円ハイライト)が円柱に重ならない長さであれば大丈夫です。(ここでは寸法と同じ26 mmにしました)
そしたら「OK」してください。

らせんの先っぽを除く「減算プリミティブ」

かなりそれらしくなってきました。
次で最後、先っぽの部分を取り除きましょう。
減算プリミティブを使ってみます。

すこし見にくいですが、ネジの背に赤い四角がありますね。
これをネジに重ねると、そこを削ることが可能です。
ネジの先っぽを整えるように移動させていきましょう。

まずネジの六角形あたりに平面が見えると思います。
このうちXY平面(ネジの軸に垂直な平面)をクリックしてください。
(見えにくいので視点移動してうまくクリックしてください)

すると画面左下「アタッチメント・オフセット」がいじれるようになりました。
x,y,z方向の数値を変えて、赤い四角を動かしてみましょう。
(ここに限らず、数値入力欄にカーソルを合わせてマウスホイールを回すと、簡単に数値を変えられます。忘れてた)

赤い四角がネジの天面とピッタリ接しているかどうか見るには、右上のキューブ?を使うと便利です。
平面(例えば左と書いてある面)をクリックすると、その面に垂直な視点になります。

いい感じになったら「OK」です。
(削る範囲が足りなかったので、左上「プリミティブパラメーター」の長さ・幅を調整しています)

押し出し部分(六角形と円柱)・らせんの結合

これでほぼ完成しましたが、モデル欄をよく見ると押し出し部分・らせんが分かれていますね。


このままでもOKですが、せっかくなのでまとめてみましょう。
らせん・各押し出し部分を続けてctrl+クリックし、選択状態にします。
そして左上の「Part」より、「結合」を使うと簡単に1つになります。

これでネジの完成です!

3Dプリンター用の形式での保存

あとは3Dプリンターで印刷できる形式でも保存してみましょう。
まず完成品(fusion)をctrl+クリックで選択しておきます。
つぎに左上の「ファイル」->「エクスポート」を押します。
ここでSTL Meshを選択して保存してください。

これを3Dプリンタに読ませれば印刷できるはずです。
おつかれさまでした!

おわりに

今回のネジの設計はRaspberry Piのカメラの支えをつくろうとしたのが始まりです。
約半年前でいろいろ忘れていたので、振り返りながら設計しました。

(画像は今年3月ごろのデータ)


次回は今回の対になるネジの作り方、それを応用したアームの作り方を自分なりにまとめられればと思います。

参考

▼3Dプリンターでねじ(ボルト、ナット)を作る – imo Lab.
https://garchiving.com/bolt-nut-on-3dprinter/

▼3DプリンターでWebカメラのアームマウントを作る – imo Lab.
https://garchiving.com/web-camera-arm-with-3dprinter/

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