執筆者: しげ
最終更新: 2021/10/08
** 注意:この記事は2021年7月時点のWindows 11 Insider Previewを古いPCにインストールするための情報をまとめた記事です.2021年10月5日に公開された正式版のWindows 11のインストールでは,この記事に書かれている作業は必要ありません.
どうも,しげです.6月25日にWindows 11が発表になりましたね.Windows 11ではAndroidアプリのサポートやUIの大幅刷新など大きな変化がありましたが,動作要件も大きく変化しました.古いハードウェアを徹底的に排除する成約が動作要件に盛り込まれ,ごく一部の例外を除いてWindows Insider Previewに入っていてもインストールができなくなってしまいました.
Windows Insider Previewに入っても,動作要件外のデバイスにはWindows 10のPreviewが提供されるだけで,Windows 11が提供されることはありません.プロセッササポートが,第7世代Intel Core以降か第1世代AMD Ryzen以降というきつい制約があるせいで,「このPCではWindows 11を実行できません」というエラーが表示されます.
ここでWindows 11の動作要件について見てみましょう.
プロセッサの動作要件は,Windows 10のときから大きく変化していない気がします.Windows 11は64bit版のみの提供となったため,メモリ要件が4GBに増加しています.記憶装置の要件も32GBから64GBに増加しました.そしてここからが問題の動作要件です.システムファームウェアがUEFIを必須とするようになりました.Legacy BIOSで動作する古いPCはおさらばです.一般に第1世代Intel Core以前のマシンは対応していない気がします.そしてさらにTPM.TPM2.0は第4世代Intel Core以降に搭載されるようになりました.第2・3世代はTPM1.2で対応していませんし,Windows 7がTPM2.0をサポートしていなかったのもあり,第6世代Intel CoreまではTPM1.2が搭載されている可能性があります.メーカー側が変更するツールを提供していればバージョンを変更できる可能性があります.でも,そうでないデバイスは例え第4世代Intel Core以降であろうと動作要件外となります.第7世代Intel Core以降はWindows 7・8.1用のデバイスドライバーが提供されていないため,これらのOSの動作を考える必要がありません.よってTPM2.0以降が標準で搭載されているため,動作要件内に含まれる可能性が高いです.Surface Pro 2はTPM1.2でWindows 11には対応していませんでした(泣).Surface Pro 3はTPM2.0なのになんで...どちらも第4世代Intel Core搭載のデバイスじゃん!納得行かねぇ!!
とは言え,せっかくのデバイスが使えないのは残念としか言いようがありません.何とかインストールする方法はないのでしょうか?
...ありました.ここでは,その方法を紹介していきます.自己責任で試してみてください.
今回の検証環境は次のとおりです.1コアのIntel Celeron,1GBのメモリを搭載していたLenovo SL500 2746RP4を魔改造したデバイスです.ご覧の通り,Windows 11のほとんどの動作要件を満たしていません(笑).
Windows 11のインストールに必要なもの
ちょっと待って,Windows 11のインストールメディアって公開されてないんじゃないの?と思われた方もいると思います.その通りです.Windows 11は2021/7/10現在,Windows Insider PreviewのWindows Update経由でしか配信されておらず,ISOイメージも公開されていません.
ここではUUP dumpの力を借りて,サーバから必要なファイルをダウンロードして自分でISOをビルドします.ビルドはPCの性能にもよりますが,30分程度はかかります.
まずはUUP dumpのホームページにアクセスします.
1.Latest Dev Channel Buildのx64版をクリックします.
2.Cumulative Update for Windows 11をクリックします.
3.LanguageをJapaneseに変更してNextをクリックします.
4.必要に応じてエディションを加えてNextをクリックします.
Include updates(Windows converter only)のチェックを外し,Create download packageをクリックします.
5.ダウンロードしたzipファイルを展開し,uup_download_windows
を実行します.自動でダウンロードとビルドが始まり,しばらく待っていればISOが生成されます.
次にWindows ISO Downloaderのダウンロードページにアクセスします.
1.Download:Windows-ISO-Downloader.exeをクリックしてダウンロードします.
2.ダウンロードしたファイルを開いて,Windows ISO Downloaderを起動します.
3.Windows 10のラジオボタンをクリックします.
4.Windows 10 Version 21H1のHome/Proエディションを選択し,確認ボタンを押します.
5.日本語を選択し,確認ボタンを押します.
6.右側に「64ビット版のリンクをコピー」のボタンが表示されるので,リンクをコピーし,WebブラウザのURLバーに貼り付けてISOをダウンロードします(Webブラウザでやったほうがダウンロードが速いです).
次にRufusでISOファイルをUSBメモリに焼いていきます.Rufus Portableを用いれば,PCにインストールしなくても使用できます.
1.一番上のデバイスのところから,インストールメディアを作成するUSBデバイスを選びます.
2.Windows 10 21H1のISOを選択します.
3.パーティション構成をMBR/GPTから適切に選びます.Legacy BIOSの場合はMBR,UEFIの場合はGPTとなります.間違うとインストールメディアが起動しません.今回の場合はLegacy BIOSなのでMBRを選びます.
4.スタートを押して書き込みを始めます.
次に7-Zipで,先程ダウンロードしたWindows 11のISOを展開します.7-zip 19.00の64ビット版exeをインストールします.
1.右クリックメニューから7-zip > "ファイル名"に展開を選ぶ
2.展開されたフォルダのsources
フォルダを開きます.
3.install.wim
を作成済みのUSBインストールメディアのsources
フォルダにコピーして上書きします.
これで,Windows 10のインストールメディアだけど,実際にはWindows 11がインストールされるインストールメディアの完成です.install.wim
ファイルは,Windowsのインストールイメージで,実際にインストールされるWindowsの実体です.これを置き換えることで異なるバージョンのWindowsをインストールするわけです.
動作要件を満たすかどうかはinstall.wim
ではなく他のファイルでチェックされているので,それがないWindows 10のインストールメディアをベースに使用します.ここまでお疲れさまでした.
自作PCを組んだり,Windowsをクリーンインストールしたりしたことがある人には説明するまでもないでしょう.ちなみに,Windows 10をインストールしたことがあるデバイスであれば,プロダクトキーがありません > 適切なエディションを選択することでライセンス認証が通ります.Windows 10をクリーンインストールする場合と同じ感じですね.インストールの仕方は先人の記事がたくさんあるので,ここでは説明しません.強いて言うならセットアップが終わるまでインターネットには接続しないようにしましょう(Microsoftアカウントを強制されます).制限された設定で続行すれば大丈夫です.
Windows 10アンチな筆者ですが,Windows 11は良さそうに感じています.Windows 7の正統後継OSになれるんじゃないでしょうか?年末のリリースに向けてMicrosoftには頑張って欲しいと思います.それでは.
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