執筆者: しげ
最終更新: 2021/03/06
現代のノートPCは高性能化が進むとともにそのロジックボードはSoCと化すことが多くなっている.CPUはロジックボードにはんだ付けされ,交換は容易ではない. 2013年前後までのノートPC,Intel Core iシリーズで言うと第4世代までのCPUを搭載したノートPCでは交換可能なCPUを搭載した機種もある.IntelのCPUの場合は末尾にMが付くCPUがそれである.例えばIntel Core i7-2670QMやIntel Core i5-3230Mなどである.
本記事では,Intel Celeron B720(1コア1スレッド1.7GHz)のもっさりPCのCPUをIntel Core i7-2670QM(4コア8スレッド2.2GHz,TB3.1GHz)に交換して高速化を図ろうとした備忘録を記す.
先程,ざっくりした説明でCPUが交換できるのかの基準を設けたが,実際はもう少し詳しく考える必要がある.
第一にソケットである.多くの場合LGA・PGAタイプのソケットタイプのCPUは交換可能になっている. LGAタイプのソケットは,ピンの上にCPUを載せる方式で,PGAタイプのソケットは穴にCPUのピンを差し込む方式である.ソケットの種類はIntel公式ページなどで確認することが出来る.例えば,Intel Celeron B720の場合は次のようになっている. →https://ark.intel.com/content/www/jp/ja/ark/products/63920/intel-celeron-processor-b720-1-5m-cache-1-70-ghz.html
ここには記載はないが,Intel Celeron B720のソケットはPGA988
である. Intel Core i7-2670QMのソケットはFCPGA988
と記載されているが,FCは読み飛ばしても大丈夫(実害はなかった)なので,PGA988
ソケットである.
第二に世代である.ソケットこそ同じだが互換性がない場合も考えられる.Intel Core iシリーズの第2世代Sandy Bridgeと第3世代Ivy Bridgeはよく似ているが,完全な互換性はない(BIOSアップデートなので対応されることもあるが).そのため世代が変わるような交換は行わないのが無難である.Intel Celeron B720の開発コードはSandy Bridgeであり,Intel Core iシリーズで言うと同じ世代のCPUになるので交換可能と考えることが出来る.
第三にチップセットである. パソコンに搭載または繋がれている機器の橋渡しをする役割があるパーツで,ロジックボードにハンダ付けされているが,チップセットによっては高性能なCPUをサポートしていないことがあり,交換後のCPUで安定して動作しないという事例が存在する.今回は下位モデルのPCをアップグレードするため,注意が必要な部分である.事前に公式の対応リストを確認したり,上位モデルが採用しているチップセットと同じかどうかを確認すべきである.今回は上位モデルと同じチップセットを採用しているため,問題ないと判断した.
交換前にBIOSのアップデートも行っておくと良いだろう.
問題がないことを確認したら,実際にCPUを交換していく.次のようなものを用意しておこう.
BAN
いきなり全分解後の写真であるが,分解方法は機種によって異なるし,頑張れとしか言いようがないのですべて省く.CPUのヒートシンクを外して,CPUとご対面できたら,マイナスドライバでCPUのロックを外す.上に持ち上げてCPUを交換して,新しいグリスを塗ってヒートシンクを戻す.このヒートシンクは予めアルコールかグリスクリーナーで清掃しておこう.元通りに組み立てて完成である.次の写真のようにOS上での表示が変わった.晴れてスペックアップ完了である.
CPUが1コアから4コア8スレッドに大幅に性能アップが期待されたが,HDDが足を引っ張ってしまい,もっさり感を完全に解消するには至らなかった.Windows 10やMacOS10.15などがそうだが,近年のOSはディスクを使用しすぎている気がするので,もう少しディスク使用率を低減する動作にしてほしいものである.
昔の動画ですが,やってることは同じなので載せておきます.
この人が書いた記事